AI Guided Selling Process

流行のAIを被せていますが、要するに営業指南してくれるのだろうと推測したところで、いつものようにDescriptionを読んで行きます。

AI guided selling solutions incorporate AI and machine learning to identify the next-best actions for each deal in the pipeline to get repeatable, predictable results.

とは、

AIにより指南された販売支援システムにはAI と機械学習が組み込まれているので、現在商談中の各案件に対して、次は何をすれば、確実で外れることが無いような最も優れた助言を与えてくれます。

と少し意訳しました。

 

また、Typical Functionalityは、

AI-powered recommendations.
(AIによって「次にすべき」営業対応を推奨)
Automatic logging of deal activity into CRM
(営業活動の内容を CRMに自動的に記録)
Identification of “next-best” actions
(「次にすべき」営業対応の決め打ち)

といったところでしょう。

 

ここで、the next-best actionsの意味が分からない方が多いのではないかと思うので具体的なシーンを紹介しながら説明しておきます。

 

営業課長:△△工業さんへのニューコールはどうだった?
営業マン:歴史のある会社なので緊張しましたけど、丁寧に対応して頂けました。
営業課長:そう、それはよかったけど、脈は有りそう?
営業マン:はい、当社の製品について説明して理解いただけたと思います。
営業課長:宿題は貰った?
営業マン:特に何も言われなかったんですけど
営業課長:じゃあ、次はどうするの?
営業マン:△△工業さんから何か言ってきたら対応するつもりですけど

 

このような営業マンが△△工業さんから受注できることはありません。説明することをもって営業活動をしたと思っているのです。
そんな営業マンに対しては、営業課長は「客先と商談する時は先方の課題を聞いて来るように」と話したところ、別の案件でのやりとりは、以下の通リでした。

 

営業マン:いかがでしょう?弊社の製品についてご理解いただけましたでしょうか?
〇〇建設:よく分かりました。
営業マン:何か不明な点はありませんでしたか?
〇〇建設:特にありません。
営業マン:では現在、御社が抱えておられる課題を教えて下さい。
〇〇建設:まだ課題を整理できていないんでね。
営業マン:・・・・・
〇〇建設:ご足労いただいて有難うございました。

 

というわけで今回も手ぶらで帰ってきた営業マンと営業課長が話します。

 

営業マン:〇〇建設では、「まだ課題を整理できていないんでね。」と言われました。
営業課長:どんな聞き方をしたの?
営業マン:課長に言われた通リに言いました。
営業課長:確かに「課題を聞くように」と言ったけどストレートに聞いても答えてなんかくれないよ。
営業マン:・・・・・
営業課長:それに担当者レベルだと部門全体の課題を理解していないことが多いから、責任ある立場の人に会わないと話が進まない場合もある。そして、何よりも、そういった部門長クラスに人が実質的な決定権を持っているんだ。

 

課長から指示を受けた営業マンは、少し日にちを空けてから電話を掛けました。

 

営業マン:先日はお忙しいところ時間を割いていただいて有難うございました。
〇〇建設:こちらこそ、遠くから来て頂いて有難うございました。
営業マン:前回「まだ課題を整理できていないんでね。」と仰いました。
     そこで、業務全体を把握していて決定権のある方に、取次をお願いします。
〇〇建設:そういったことは段階を経てからのことです。
営業マン:・・・・・

 

となって、〇〇建設の担当者の気分を害したのか、商談そのものがポシャってしまいました。


ワザとダメなケースを取り上げているように思えるかもしれませんが、実は、営業マンの相当数が踏むパターンです。何れも次回の面談時に何をするのかをイメージせずに話をしているだけなのです。

 

こういったことが起こらないようにAI Guided Selling Processに挙げられた製品/サービスが適切な助言を与えてくれるのでしょうが、

の三番目のClariのVP Product Marketingの方はblogで、

our mission is to make selling easier and more predictable. 

つまり、

当社の使命は、営業活動をより簡単かつ予測可能にすることです。

と言っていて、具体的には、

We've been applying AI against a range of important signals from the buying process—not just CRM data but also rep and prospect email activity, meetings taking place,files and contracts flying back and forth—to give the entire sales organization predictive and prescriptive insights.

だそうですが簡単にまとめると、CRM上の営業記録だけでなく、電子メール、打ち合わせなどの営業活動を通じて得られる兆候をAIで分析して、起こりうることや対処すべきことを教示してくれるようです。

 

確かに、進行中の商談の流れを元に次の対応について助言してくれれば「次に何をすれば良いのかが分からない」営業マンの助けにはなるでしょう。

 

でも、それに頼ると、例えば、ベンチから送ってくるサインを投手に伝えるだけの捕手にしかなれず、ウィニングショットをイメージした上で状況を踏まえながら投球を組み立てることができるような選手には勝てません。

 

営業活動も同様で、こういった“AI Guided”なシステムの意見を参考にしつつも自分で受注ストーリーを描く訓練の方が大事です。

 

ということで、いきなり記事から入りましたが、昨年の5月から始めた当ブログも2年目に入りました。

 

より充実した内容にして行きますので、本年も宜しくお願いします。